2026年2月11日発行

第21回日本幼児体育学会について

幼児期から考える架け橋プログラム
~小学校につながる連続性のある乳幼児期からの運動あそび~

開催日時:2025年8月30日(土)・31日(日)
開催場所:天理大学体育学部(田井庄キャンパス)

学会報告

日本幼児体育学会第21回大会のご報告ならびにお礼

日本幼児体育学会第21回大会
会長 德田 眞三(天理大学)

日本幼児体育学会第21回大会は、2025年8月30 日(土)~31日(日)にかけて「幼児体育から考える架け橋プログラム」を大会テーマに掲げ天理大学田井庄(体育学部)キャンパスにて開催いたしました。本大会開催にむけ、みなさまに喜んでいただける意義ある大会になればと、実行委員会を中心に準備をすすめてまいりました。大会期間中は、十分ではなかったことも多々あったことと存じますが、本大会にご支援をいただきました関係各位を始め、本大会にご参加いただきました多くのみなさまのご理解とご協力のもと、なんとか本大会を終えることができました。

本大会初日は、「研究発表」のほか、「基調講演」として大阪教育大学元副学長の入口豊先生に、「特別講演」として筑波大学准教授の三田部勇先生にご登壇いただき、大変貴重なお話をいただきました。そして、「特別実技講習Ⅰ」では一般社団法人WARAリズム普及委員会による「幼児期の運動につながる 0 歳からの体づくり~歩き出すまでにやっておきたい13 の体幹トレーニング~」と題した講習会を実施いたしました。

本大会2日目は、「研究発表」、「ポスター発表」に加え、「特別実技講習Ⅱ」として大阪大谷大学准教授の小畑友紀雄先生による「アニメを見ながら楽しく学ぼう 一次救命処置PUSHコース 幼児に対する一次救命処置って何か違うの?」と題した講習会を実施しました。また、「シンポジウム」では、太成学院大学准教授の吉井英博先生コーディネートのもと「「幼児体育から考える架け橋プログラム~小学校につながる連続性のある乳幼児期からの運動遊び~」をテーマに桜井市立安部小学校校長の河﨑光美先生、正雀ひかり園園長の国領美佐子先生、天理幼稚園園長の伊藤加寿子先生の各シンポジストにご登壇いただき熱のこもったお話をしていただきました。さらに、この日は「元気な体をありがとう」をテーマに「天理幼稚園園児からの発表プレゼント」として天理幼稚園園児さんにとてもかわいい歌声を披露してもらい、楽しくもあたたかい時間をプレゼントしてもらいました。

本大会がご参加いただきましたみなさまの研究の場、議論や意見交換の場となり、親睦を深め、絆を強くする機会となったとすれば幸甚に存じます。加えて、本大会が幼児の健やかな育ちに少しでも寄与できたとすれば、これ以上の喜びはございません。

本大会開催にあたり共催としてご協力いただきました天理大学、後援をいただきました天理市ならびに天理市教育委員会、協賛いただきました各団体等の関係各位には、この場をおかりし御礼申しあげますとともに、本大会にご参加いただきました多くのみなさま、ご支援、ご協力いただきましたすべてのみなさまに感謝申しあげます。

最後に、世界のすべてのこどもたちの未来が、明るいそしてすてきな毎日でありますよう心より祈念し、日本幼児体育学会第21回大会のご報告ならびにお礼とさせていただきます。

シンポジウム報告

幼児体育から考える架け橋プログラム
~小学校につながる連続性のある乳幼児期からの運動あそび~

シンポジウム コーディネーター
吉井英博(太成学院大学)

今夏天理大学を会場として開催された日本幼児体育学会第21回大会は盛会のうちに幕を閉じました。

今大会のテーマは、『「幼児体育から考える架け橋プログラム」~小学校につながる連続性のある乳幼児期からの運動あそび~』でした。それに伴い、今大会のシンポジウムでは、幼児教育と小学校それぞれの校園長から「架け橋プログラム」の現状や校種間における接続の実態等をお話いただきました。

今回のシンポジウムにご登壇いただいたのは、桜井市立阿部小学校校長の河﨑光美先生、天理幼稚園園長の伊藤加寿子先生、正雀ひかり園園長の國領美佐子先生でした。シンポジウムの開催に際し、先生方とは事前に多くのご意見を頂戴しシンポジウムに臨みました。本来は、そのご意見を整理し、ご参加された学会員の皆様とできるだけ多くの情報共有したかったのですが、時間の都合上、割愛することになってしまいました。

そこで、このニュースレターを通して、シンポジウムの内容とお伝えしきれなかった内容をそれぞれ共有させていただきます。

まず、河﨑光美先生からは、奈良県教育委員会在職時に多くの学校を訪問し、「アプローチカリキュラム」と「スタートカリキュラム」の基本的な考え方や運営方法について研修をされたご経験をお話しいただきました。「アプローチカリキュラム」はいわば「経験カリキュラム」としての位置づけであり、学びの種を蒔く時期であること、そして、「スタートカリキュラム」は、「教科カリキュラム」であるり、学習の側面が一気に強化され、子どもだけではなく、教員もそこに対応していかなければならず、流れが途切れてしまうことが課題であることをお話しいただきました。次に、伊藤加寿子先生からは、系列校である小中高の児童生徒と園児が異年齢交流をすることで、多くの学びを得ていることが報告されました。また、幼児教育の根幹である「遊び」を通して、日常生活のなかで身体の使い方を学べることを園全体で共有することを意識されていました。最後に、國領美佐子先生からは、小学校教員のご経験から現在の園長に至るまでのご経験から、幼児教育と小学校教育の相違点や共通点を見出すことが重要であることと、「遊び」のなかでも自由と自主性は異なるものであるということをお話しいただきました。

事前の打ち合わせのなかで、今回ご登壇いただきました三人の先生方が異口同音に語られたのは「片思い」という言葉でした。

幼児教育の先生方は、進学先である小学校入学に向けて様々な思いを抱き、多種多様な取り組みをされています。では、小学校はどうか。次の進学先である中学校に目が向いており、送り出してくれた幼児教育の現場に思いを馳せることがほぼないというのです。

「架け橋」とは、本来相互に行き来ができる、つまり相互作用するべき内容です。先述のように「アプローチカリキュラム」と「スタートカリキュラム」のマネジメントは学校園の校園長の手腕にほぼ委ねられています。また、実践する教職員の知識とスキルにも学校園間で差が生じています。結果として、横並びの内容は提供できないということです。

「架け橋プログラム」は、本来「こどもたちのためにこれをしよう!」という考えのもと出発しました。しかし、現状は「小1プロブレム対策のため」、といった印象があることは否めません。子どもたちの健やかな成長のために、今一度専門的な知識や経験をもつ私たち研究者が現場に対して、「手出し、口出し」をしていくべきなのかもしれません。

最後になりますが、今回のシンポジウムにご登壇いただき、貴重なご意見を頂戴しました、桜井市立阿部小学校校長河﨑光美先生、天理幼稚園園長伊藤加寿子先生、正雀ひかり園園長國領美佐子先生にはこの場をお借りして改めてお礼申し上げます。

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