新型コロナウイルス感染症に伴う公園利用について
─混んでいたら利用しない、いつもより短めに使う、 独占しないように使う─

How to use the park when fighting against COVID-19
─Do not use if it is crowded; Use for a shorter time; Use without occupying all the time─

早稲田大学教授/医学博士
前橋 明

はじめに

 東京や大阪といった都市部を中心に新型コロナウイルス感染症患者数が急増し、クラス ターの発生とともに、 感染源のわからない例が増加してきました。 そのため、行政から「緊急事態宣言」が発せられ、「外出の自粛」と「イベント開催の自粛」が要請されています。 「外出の自粛」は、生活維持のために必要な場合を除いて外出を自粛すること、「イベント開催の自粛」については、 生活の維持に必要なものを除く全てのイベントについて、規模や場所に関わらず開催を自粛することが要請されています。 「公園の利用」に関しては、 新型コロナウイルス感染防止対策を徹底する必要がある区域に指定されて、利用が禁止となっている地域があります。 感染拡大を食い止めるには、人と人との接触の機会を大幅に減らす必要があり、外出の自粛が必要ですし、 運動施設やレジャー施設などの閉鎖も余儀なくされています。 もちろん、公園内での集会やイベントの開催については、自粛が基本でしょう。 では、外の空気を吸いに、また、からだを動かしたり、気分転換をしたりする目的で、公園を利用されている方も多いと思いますが、 今の状況下において、利用はしない方がよいのでしょうか。 とくに、子どもたちも、親たちも、公園利用禁止になると、ストレスがたまり、精神的にも情緒的にもおかしくなりそうという声や相談が、 私のところに届きます。 そこで、「公園利用をどのように考えたらよいのか」「公園を利用できるのであれば、気をつけることは何か」について、考えてみたいと思います。

公園利用上の基本的留意点

 公園の園地での散策や健康維持のための散歩や運動のような自由利用は可能と考えますが、その場合でも、 他の利用者と一定以上の距離や間隔を確保することや、マスク着用や咳エチケット、手洗い等の感染予防対策は徹底して行ってください。 具体的には、 ①人が多い場所を避けて、とくに混雑する場所や時間帯は利用を見合わせる等して、 2m以内に人が集まるような密集状態を作らないことが重要です。 ぜひとも、他人との距離を十分にとっていただき、長い時間、同じ場所に留まることや飲食はしないようにお願いします。 ②利用上のマナーとして、咳エチケットの励行や帰宅後の手洗い、うがいの徹底など をこまめに行って、 大切な人にうつさない感染予防の取り組みも実践してください。咳エチケットとは、咳の出るときは、 「マスクを着用して、口・鼻を覆う」「マスクがなくて、咳やくしゃみが出そうになった場合は、ハンカチやティッシュ、 タオル等で口を覆う」「咳やくしゃみを受け止めた手は、すぐに洗う(その手で触った遊具やベンチ、ドアノブ等に菌やウイルスが付着し、 他の子に病気をうつす可能性がある)」「マスクやティッシュ、ハンカチが使えない時は、長袖や上着の内側で口・鼻を覆う」等のことです。 ③体調の優れない場合、咳やくしゃみの症状がある場合、発熱がある場合の利用は、遠慮しましょう。

行政の皆様に

公園は、多くの人や子どもたちが集まってきます。 各地域の行政は、多くの人が集まる公園での感染対策に苦慮されるため、利用禁止や立ち入り禁止をされたところもありますが、そうなると、とくに子どもたちはますます行き場所を失っているのが現状です。 公園は、一律に閉鎖するのではなく、使い方の工夫や利用者に感染対策を呼びかけ、継続して安全に利用できることが望ましいと考えます。公園は、すいた時間や混雑していない場所を選んで、他人と密接にならないようにすること等、具体的な利用のしかたを呼びかけてしてもらいたいのです。公園でのジョギングも、マスクをして、お互いの距離や間隔をとって行えば、実践も可能でしょう。要は、密を避けて利用してもらうことです。 ①密集場所(大人数が集まる場所は避けてね) ②密接場面(間近で会話や発声は控えてね) ③密閉空間(換気の悪い場所は避けてね)に気をつける呼びかけ・掲示をしてください。 つまり、感染対策時の公園利用にあたっては、「少人数」「短時間」「運動、散歩」利用に限っての使用に理解を求めることが必要で、「他の人との距離・間隔を、2m以上あける」「混んでいるときは利用を控える」「手洗い、マスクの着用、咳エチケットを引き続き呼びかける」ことを、お願いします。

子どもをもつ保護者の皆様に

集団感染は、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数が接触する恐れが高い場所」ですので、 公園を利用される場合は、感染拡大防止の面からも、手洗いやマスクの着用、咳エチケットの徹底がなされることが必要不可欠です。 特に、利用の多いベンチや遊具、広場において、 ①混んでいたら利用しない ②いつもより短めに使う ③独占しないように使う等を念頭に、 密集状況を作らないよう、ご配慮とご協力をお願いします。公園利用者が多く集まる場所や運動遊具の利用は休止されることがありますが、 とくに、公園では、複合遊具を利用する子どもたちが多く、遊具周辺が「多数が集まる密集場所」、「間近かで接したり、 会話をしたりする等の密接場面」となっている場合は、人との接触を極力なくしていかねばならないという状況のため、屋外ではありますが、 密集状態で感染リスクが高いと判断された場合は一部遊具が利用休止される場合があり、行政判断への理解が必要でしょう。 大変な不便になっていると思いますが、自身のため、また、お子様をはじめとする自身の大切な家族や身近な方に感染させないために、 理解と協力が必要です。

おわりに

自分への予防だけでなく、感染拡大の機会を広げないよう、予防への取り組みを理解し、協力することが大切です。 公園は、屋外施設で密閉空間ではありませんが、遊具や施設などに不特定多数の方が触れるものに触ったり、 多くの子どもたちが近距離で集まって触れ合ったり、会話したりすることを避けることが必要です。 公園を利用する際には、手洗いや消毒、咳エチケットの徹底など、感染防止につながる 行動に協力をお願します。